今さっき鼻をかむ為に取り出した1枚が最後でした。いつもなら「僕も連れてってよぅ」と付き纏って来るのに、奴はもう居ません。からっぽです。なくなって気付く大切さ。「ぢゃトイレットペーパーでいいもん」と意地を張っても、やっぱり何かが違うのです…。あいつぢゃなくては。初め、此処に来た頃はこんなに早く別れが訪れるなんて思いませんでした。ずっと一緒に居られたらと願っていました。いつも傍に居てくれたのに、奴は今小さく丸まって遠くへ旅立とうとしています。そう、土曜の朝は可燃ゴミの日。惜別の時です。
「君が住んでいた所も小さく折り畳んで、明日ゴミに出すよ。さよなら、そして有難う。」
